一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「誰だろう」


メールではなく電話を知らせる着信音に起き上がり、ベッドのサイドテーブルに置いてあったスマホを手に取り確認すると、電話の相手は南さんだった。

「え、南さん?」

時刻は二十三時前。ドキドキしながら通話ボタンを押すと、愛しい声が聞こえてきた。


『ごめん、ミャー。もしかして寝てた?』

なかなか電話に出なかったからか、開口一番に謝られてしまい慌てて言った。

「いいえ、起きていました。……もしかして南さん、今帰ってこられたんですか?」

尋ねると彼は『……うん』と答えた。

『こんな時間だし寝てたら悪いと思ったんだけど、どうしてもミャーの声が聞きたくて』

そんなこと言われたら、じわじわと身体中が熱くなってしまう。電話越しだと余計に。

『今朝は大丈夫だった? 水谷さんに怒られたりしていない?』

「はい、大丈夫でしたよ」

『そっか、ならよかった』

安心した声に、口元が緩んでしまう。


『それとごめんね。父さんから水谷さんに話がいったでしょ? 結納のことで』

ドキッとしつつも「はい」と答えると、南さんは溜息を漏らした。