一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「アハハ、それは悪かったな。……さて、と。父さんそろそろ寝ようかな。明日も早いし」

ゆっくりと立ち上がると、お父さんは「おやすみ」と言って自分の部屋へと行ってしまった。

しばしお父さんの背中を見送った後、洗い物が途中になっているのを思い出し、台所へ向かい片付け始めた。

南さんとお見合いは、ただ一回会うだけで終わるとばかり思っていた。


でも実際に私は彼のことを好きになってしまった。南さんも自分のことを好きになってくれて、結婚を考えてくれているなんて嬉しいのに、急展開すぎてついていけていない。


洗い物を終え、サッとお風呂に入って自分の部屋のベッドに仰向けで寝転がった。

天井を見つめながら考えてしまうのは、南さんとのことばかり。

南さんと結婚したら、私の生活は一変しちゃうよね。南さんと一緒に暮らすんだから。

今までのように会社で事務の仕事ができなくなるし、お父さんと一緒に暮らすこともできなくなる。

そう思うと複雑な感情で埋め尽くされてしまうよ。

ボーっと考え込んでしまっていると、スマホが鳴り出した。