一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

でもどうして急に電話なんて。お見合いした後、連絡なんて一度もなかったのに。

突然の電話に不安になり、話しているお父さんの様子を窺いながら腰を下ろした。


「いいえ、そんな! 颯馬さんにはこちらこそお世話になっておりまして……え、えっ!? 結納の日取り……ですか?」

ゆっ、結納!?

お父さんの口から飛び出したとんでもないワードに、お互い目を合わせてしまう。

ちょっと待って。お父さんってば今、会長とどんな話をしているわけ?

電話中で声を掛けるわけにはいかず、ハラハラしながら電話が終わるのを待つしかできない。

「はい……はい、こちらはいつでも都合つけられますので。わかりました、よろしくお願いします」


再び頭を下げると、相手が先に電話を切ったのを確認し、お父さんもゆっくりと電話機を戻した途端、勢いよく振り返り私を見た。


「美弥、どっ、どういうことだっ!! 南さんから直々にお前と颯馬さんの結納の」日取りを相談されたんだがっ!」

あまりにお父さんが至近距離まで詰め寄ってきたものだから、のけ反ってしまった。