「夢みたいだ。……ミャーも僕を好きになってくれたなんて。夢みたいだから、正直まだ信じられない」

「南さん……」

困ったように眉を寄せて話す彼に、胸がキュンと鳴ってしまう。


今まで誰かを好きになったこともあるし、付き合ったこともある。それなのに初めて人を好きになった感覚を覚えてしまうよ。

南さんが好きで堪らない気持ちで、心の中は埋め尽くされてしまっているから。


「ミャー、あまり見ないで。……恥ずかしいから」

今度は照れ出した彼に、視線は釘付け。

そんなこと言われちゃったら、ますます見ちゃうよ。

私も嬉しい、まだ信じられない。南さんと両想いになれたなんて。


照れ臭いのか視線を泳がせる南さん。けれどある一点を見つめるとハッとした。

「ミャー、時間大丈夫? そろそろ帰った方がいいよね?」

「え……」


時間と言われ、咄嗟に南さんが見つめる先にある時計で見ると、時刻は二十一時になろうとしていた。

けっこうな時間が経ってしまっていたことに驚いていると、南さんはゆっくりと私から離れた。