「初めまして、南泰三と申します」

「きょっ、恐縮です……!」

写真やテレビでしか見たことがない南会長から名刺を受け取るお父さんの手は、尋常じゃないほど震えている。

なんせミナミグループのトップから名刺をもらっているのだから。


お見合い場所は都内でも有名な高級ホテルの最上階にあるレストラン。通された個室でお見合いはお互いの父親の名刺交換からスタートした。

うちのお父さんは五十三歳。南会長は六十五歳。

なのにお父さんの方が年上に見えてしまうんじゃないかってほど若々しい。ダンディで素敵だ。

けれどそんなダンディな南会長より気になってしまうのは、私の目の前に座る彼、私のお見合い相手の南颯馬(みなみそうま)。

なぜかずっと見つめられたままなんですけど。

視線を感じながらも彼を直視することができず、さっきからチラチラと様子を窺ってしまう。

一瞬でも目が合うと彼は嬉しそうに顔を綻ばせるから、変にドキドキしてしまって困る。

一応お見合い相手だし少しでも知ってからいこうと思い、ネットで彼を検索すると色々な情報が出てきた。