「確かに。それに会って向こうから断ってくれれば、なんの問題もないよね」

「そうだとも! 向こうが美弥を気に入らなければいいだけの話なんだから。まぁ、実際会ったらそうなるだろ」

ゲラゲラ笑うお父さんにイラッときてしまったけれど、でも気に入られなければいいだけの話なんだ。

一度会えば向こうから間違いなく断ってくるはず。

そこに結論が行きつくと、諦めにも似た深い溜息が漏れてしまった。

「わかったよ、お見合いすればいいんでしょ? そうすればすべて丸く収まるんだよね?」

ヤケ気味に言うと、お父さんは何度も首を縦に振った。


「もちろんだとも! 副社長の顔を拝んで豪華な料理を食べて帰ってこよう」

「そうだね、滅多にない機会だもんね!」

ふたりとも変なテンションになり、笑ってしまった。

そうだ、実際に私と会ってまで副社長が気に入るとは思えない。だったら開き直ってお見合いとやらを楽しんでくるべきだ。

自分で到底買えない洋服を身に纏って。

そう、思っていたんだけど……。


* * *


「写真を見てあなたしかいないって思ったんです。これは運命だと」

「え……えっ!?」

王子様みたいな彼に、やたらキラキラさせた目で言われて頭の中は大パニック状態。

そんな私の事情を知る由もない彼は、甘い瞳を私に向けるばかり。

私が運命の人? なにかの間違いじゃないの!?

何度も目を瞬かせ、彼を見つめることしか出来ずにいた。