「こっちこそごめんね、待たせちゃったみたいで。……でも真理愛が紅茶を淹れてくれたってことは、ミャーを退屈させずに済んだのかな?」


“真理愛”

当たり前のように笹本さんのことを下の名前呼びする彼に、胸が痛んでしまった。


やだな、ふたりは幼なじみなんだもの。お互いのことを名前で呼び合っていても、全然おかしくないじゃない。

私と海斗だってお互い名前呼びしているのに。

気持ちを入れ替えて、笑顔を取り繕った。


「はい、美味しいハーブティーをいただいてしまいました」


「そっか。真理愛は僕の幼なじみで、仕事の面でもサポートしてもらっているんだ。……だから真理愛とミャーが仲良くなってくれたら嬉しい」


彼のお願いに私は返事をすることも、頷くこともできず、ただ笑みを浮かべることしかできない。


南さんには悪いけど、そればかりは無理な話だと思う。ついさっき宣戦布告された相手と、仲良くなんてできるはずなどない。

でもそんなこと、南さんには言えないよ。