「颯馬は将来、ミナミグループを背負うお方です。そんな方の伴侶として、この先過ごしていく覚悟がおありですか? ましてや颯馬は恋愛感情が一体どんなものなのかも知らないような男です。……そんな彼と例え一緒になったとしても、あなたは不幸になるだけかと思いますが?」
「そんな……っ」
「苦労して後悔するのは目に見えております。……取引先だからと言った理由でお断りになれないのなら、私の方でうまくお断りできるよう、手配いたします。時間が経てば経つほど、後戻りできなくなるだけですよ」
諭すように優しい声色で言われてしまい、なにも言い返すことが出来ない。
彼女の言うことは最もだ。なにより私のことを考えて言ってくれていることがわかるから。
けれど心の中は悔しい感情で埋め尽くされていく。
確かに私、最初は南さんのことを“あのミナミ自動車の御曹司だから”ってことばかり念頭にあった。
けれど何度も家に訪れてくれるようになって、私の中で南さんは“ミナミ自動車の御曹司”から“南颯馬さん”へと変わっていった。
「そんな……っ」
「苦労して後悔するのは目に見えております。……取引先だからと言った理由でお断りになれないのなら、私の方でうまくお断りできるよう、手配いたします。時間が経てば経つほど、後戻りできなくなるだけですよ」
諭すように優しい声色で言われてしまい、なにも言い返すことが出来ない。
彼女の言うことは最もだ。なにより私のことを考えて言ってくれていることがわかるから。
けれど心の中は悔しい感情で埋め尽くされていく。
確かに私、最初は南さんのことを“あのミナミ自動車の御曹司だから”ってことばかり念頭にあった。
けれど何度も家に訪れてくれるようになって、私の中で南さんは“ミナミ自動車の御曹司”から“南颯馬さん”へと変わっていった。



