一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「先に戻る。でないと先輩たち、早くお茶よこせってうるせぇからさ」

そう言うと先に歩き出した。

そんな海斗の後ろをトボトボとゆっくりとした足取りで、ついていくことしかできない。

海斗の言葉、ガツンときた。私、ずっと南さんの気持ちばかり考えてしまっていた。


南さんが自分のことをどう思っているのかが大前提で、自分のこと、亡くなった愛犬がわりにしか見ていない彼のことを、気になるってどうなの?ってことばかり悩んでいて……。


けれど海斗の言う通り、大切なのは自分の気持ちだよね。

南さんの気持ちより自分の気持ち。

彼にどう思われているのかなんて、関係ないのに。


立ち止まり、ポケットの中からスマホを取り出した。

アプリをタップしてラインの受信メッセージを確認するけれど、さっきと変わらず新着メッセージはない。

忙しいだろうし、迷惑だと思って自分から連絡せずにいたけれど……。

「ライン……してみようかな」

当たり障りない言葉と、私はいつでも暇ですって伝えて。