「どうぞ」

先に南さんを上がらせようとドアを開けたまま、横にズレた。

「ありがとう」


すると南さんは家に上がる直前、私の腰に腕を回すと、あろうことか旋毛にキスを落とした。

「え……」

すぐに離れていく腕。

何事もなかったかのように上がっていく彼の後ろ姿をまじまじと見つめてしまう。

すると南さんは今に入る直前に立ち止まり振り返った。

悪さをした子供のような顔を見せて。

「……っ!」


声にならず咄嗟にキスを落とされた頭のてっぺんを押さえてしまうと、南さんはニッコリ微笑んでこう言った。

「可愛すぎるミャーがいけないんだよ」と。