一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

そんなことを言われたの、初めてだ。


「それに南さんと話すお前、俺たちといるみたいで自然体だったじゃん? そういう相手って、巡り合えそうでなかなか巡り合えないもんだろ? まぁ、こればかりは美弥の気持ちの問題だと思うけどさ、俺にとって美弥は大切な存在だから。……そんな美弥を心底好いてくれて、幸せにしてくれる人で、美弥も同じように相手のことを思っているなら、全力で応援するよ」


そう言うと海斗は乱暴に私の頭を撫でてきた。


「そういうわけだから、今後は俺でも亜優でもいいから、いつでも相談しろよ。……いい形に進むこと、俺は期待している」


最後に彼は「それが会社のためでもある」っておどけて言った後、今度こそ帰っていった。


海斗の姿が見えなくなっても、立ち尽くしたまま動けない。

私……海斗になにも言えなかった。

自分では気づけずにいたけれど、南さんと一緒にいる時の私って、どんな感じなんだろう。

海斗の言う通り、自然体でいられているの?