一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

そんな私を余所にふたりは先ほどの険悪なムードから打って変わり、にこやかな雰囲気だ。

「ならいいです。美弥のこと頑張って好きにさせてください。俺でよかったら、いくらでも協力しますので」

「ありがとう、頑張るよ。そのときはよろしく」

えっと……なにこれ。ふたりってばすっかり意気投合してしまったようで、ラインを交換した。


「じゃあ俺はこれで」

交換し終えると、海斗は私にボソッと「邪魔者は消えるから」と言い、立ち上がった。

「え、ちょっと海斗?」

咄嗟に私も立ち上がってしまう。

「それじゃ南さん、今後とも美弥とうちの会社、よろしくお願いしますね」

「もちろん」

それを聞いて海斗は「じゃあ」と言って、そそくさと玄関へと行ってしまった。

「あっ……! すみません、南さん。ちょっと待っててください」

慌てて後を追い掛けると、海斗は玄関のドアを開けて外に出て行ってしまったところだった。


「海斗待って!」


私もサンダルを履き、玄関を出る。すると私の声に気づいた海斗が立ち止まり、待ってくれていた。