一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「なんだよ、美弥。どうして話してくれなかったわけ?」

「え?」

顔を上げ海斗を見ると、彼は嬉しそうにニンマリ笑っていた。

「南さん、すっげぇじゃん。お前にベタ惚れで」

「いや、それは……」

苦笑いしてしまうけれど、海斗は南さんと向き合った。


「南さん、さっきの話の続きですけど、俺と美弥はただの幼なじみですし、俺には付き合って三年になる彼女がいるんです。それにぶっちゃけ俺、こいつのこと一度たりとも女だと意識したことありませんから」


「ちょっと海斗?」

サラリと随分酷いことを言ってくれたものだ。

思わず突っ込みを入れてしまうものの、海斗は気にする様子も見せず、白い歯を覗かせた。

「南さん、悪い人じゃなさそうだし。……美弥のこと、幸せにしてくれるんですよね?」

海斗が問いかけると、南さんは真剣な面持ちで頷いた。

「もちろん。一生大切にするよ」

何度目かわからない彼のプロポーズの言葉に、またドキッとしてしまう。