一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「いやいやいや! 他にいくらでも相手がいるのは、そちらですよね? 南さんなら相手が放っておかないくらいモテるんじゃないですか?」


海斗の問いかけに、南さんは迷いなく言った。


「ミャー以外の相手にモテたって嬉しくもなんともないし、意味がないよ。……僕が結婚したいと思う女性は、ミャーただひとりだけだから」


言い切った彼のセリフにドキッとしてしまい、視線を落としてしまった。

南さんってば、そんなカッコいいこと言ってズルイ。

私のことなんて、亡くなった愛犬の代わりとしか思っていないくせに。


南さんは勘違いしているだけじゃないの? 私に対する気持ちが異性に抱く感情だと。……亡くなった愛犬越しに見られているんじゃ、それは違うのに。


そんな気持ちは本当に好きじゃない。

なのにどうしてかな。南さんの言動に一々ドキドキさせられてしまっているのは。

彼の気持ちがなんとなくわかるからこそ、切ない気持ちになってしまうのは。


チクリと痛む胸を手で押さえてしまうと、隣に座る海斗は「フッ」と笑みを漏らした。