一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「はぁ? 俺のミャー?」

声を荒げる海斗。

互いに睨み合い一触即発な空気に、次第に注目を浴びていく。

どっ、どうしよう。これ。非常にまずいよね。


最近、南さんが頻繁に来ているせいで、うっかり忘れそうになるけれど、彼はれっきとしたミナミ自動車の御曹司。

そんな方相手に海斗の態度は知らないとはいえ、かなりまずい。

でも今はそれよりも、この感じるたくさんの視線の方が問題だ。


スーパーの出入り口付近で、みんな何事かと足を止めて遠巻きに見ている。

このままではお店の人に、迷惑かけてしまうことになってしまいそうだ。


たくさんの視線に耐えられなくなり、逃げたい一心でふたりの腕をそれぞれ、がっちりと掴んだ。

「え、ミャー?」

「おい、美弥?」

声を上げるふたりを見ることなく、「行きましょう!」とだけ言い、ふたりを引きずりながらスーパーを後にした。