一途な御曹司は、ウブなお見合い相手を新妻にしたい

「荷物なら僕が持つから」

「――え、あっ、ちょっとおい!」

声を荒げる海斗から無理やり荷物を奪っていく人物をいた瞬間、驚きすぎて足が止まってしまった。

「え……どうしてここに?」

彼をジッと見つめたまま、声が震えてしまう。

それもそのはず。だって海斗から荷物を奪ったのは、南さんだったのだから。

呆然と立ち尽くしてしまっていると、南さんは混乱している海斗へ鋭い眼差しを向けた。

「ミャーの買い物に付き合ってくれてありがとう。荷物は僕が持つから、君はもう帰っていい」

冷めた表情で淡々と言う南さんに、海斗は唖然としながらも、ハッとし声を荒げた。

「なっ、なんなんだよ、お前は! 突然現れて! つーかミャーってなんだよ、美弥のこと?」

あぁ、どうしてこんなことに? そもそもなぜ南さんがスーパーにいるの?


なにからどう説明したらいいのやら困惑してしまっていると、疑問をぶつけてきた海斗に南さんは、再び鋭い眼差しを向けた。


「それはこっちのセリフだよ。僕のミャーとふたりっきりで勝手に買い物なんて、しないでくれるかな?」