「おい…!ちょっと待てよ…!」
その場にいるのが辛くなって私は佑介を置いて一人学校まで全力ダッシュした。
なんなのよ……好きじゃないなら好きじゃないってはっきり言えばいいのに。
ぽろぽろ、と頬には涙が伝う。
それを必死に制服の袖でゴシゴシと拭う。
もう知らないもん。
佑介と私はもう赤の他人だから。
「…泣いてるの?大丈夫?」
突然、目の前から声が聞こえてきてパッと顔を上げる。
私に声をかけてハンカチを渡してくれたのは優しく目を細めた佐藤(さとう)くん。
同じ委員会で仲良くしてもらっている人の一人。
「ありがとう、佐藤くん」
私はそういいながら、ハンカチを受け取って涙を拭かせてもらおうと思ったら前から手が伸びてきて
私の涙を佐藤くんが親指で拭った。
突然のことに目を丸くしてビックリしてしまった。