―すると… 由良が何冊も辞書を抱えて教室から出てきた。 オレは、咄嗟に声を掛けた。 「おい!」 由良は一瞬ビクっとしてオレを見上げた。 「な…何?」 「その辞書…どこまで運ぶんだよ?手伝ってやる」 オレは、由良が抱えていた辞書を半分持った。 「あ…ありがとう。さっき授業で使って…返さなくちゃいけなくて…資料室までお願い」 「別にいいよ…」 オレと由良は資料室まで無言で歩く。