彼と話しているうちに、皆と待ち合わせる十字路に差し掛かった。

『あっ、私友達とここで合流することになってるから!じゃあね!』

「そっか、じゃあ、ここまでで大丈夫だね。それじゃ!」

彼と別れ、スマホで連絡しようとした矢先にマリコとミキがやって来た。

「ひかり、あの男子イケメンじゃん、やるなぁ…」

マリコがニヤニヤしながら言う。

「やだーモテモテー」

ミキもニヤニヤしながら言う。

『違う!!逆方向行って迷ったのを助けてくれただけ!!…あっ。』

「ん?」

「あれ?」

博物館の口約束を思い出して一瞬口ごもる。一層二人がニヤニヤしだしたが、立ち話では面倒なのでいや、今はいいや、と誤魔化した。
これは、後でゆっくり話すことにしよう。


「ところで、誠也くんは?ひかり、見てない?」

マリコが呟く。確かに、彼の姿だけがない。

『あれ、アイツどっか行った?』

二人に訪ねるが、不思議そうな顔をしている。

「あたしたちトイレ行くから、ここで待ってて貰ってたんだけど、戻ったらいなくなっちゃったー。」

まったくもう…と思いつつ、二人にさっきの男子の話をするために、駅のアイス屋に寄ろうと誘い、盛り上がっていると、何となく気まずそうに誠也が戻ってきた。

「…ごめん、あっちみてたら遅くなった。帰ろう。」

そう話す彼は、心なしか元気がないように見えた。