意外にも歩くのが速い彼となんとか歩幅をあわせ、道を歩いていく。
彼はスマホを見ながら何かを調べている。

「あーー、まじかよ…」

急に歩みがゆっくりになり、頭をくしゃくしゃさせた。

『どうしたの?』

「いや、ここの博物館の特別展示が見たかったんだけど、今日もう閉館しちゃって…しかも、その展示明日までだった…」

彼はあからさまにしょんぼりした顔でとぼとぼと歩き始めた。

『そっかー、それは残念…てか博物館なんてあったんだ…私も行ってみたかったなぁ…』

「そうなの?常設展示は行ったことあるけど、めっちゃ面白いぞ!てか、俺絶対明日博物館いく!」

また宣言…と思いつつ、そこまで行きたい展示って何なのだろう。そこが気になる。

『そうなんだ!期間限定の展示って、どんなやつ?』

「古代生物!参考書で見て、めっちゃ面白いなって思って。目が五つあるやつとかいるし。」

『えーーっ面白い!私それまだ習ってないから気になる!見たかったなぁ…私も明日もう一回来ようかなー』

半分は冗談で言ったつもりだった。しかし、彼は直視できない位のまぶしい笑顔でこう言う。

「まじ!古代生物展、友達皆に不気味だしパスとか言われるから、興味ある人いてよかった!
あ、そうだ…俺、明日博物館一時位に行くから。もしそのくらいの時間に行けたら来て。一緒にみれるし!」


私は、なんなんだコイツ…と思いつつ、とりあえず「うん!」と返事しておくしかなかった。