ガヤガヤと賑やかな食堂で誰かを探すボヌフォワ
「ドクター、誰か探してんのかい?」
「ああ、フォスター。カークランド大佐は…」
ニカッと笑って指を指す
「あそこだぜ」
「ありがとう!」
食堂から離れ、一人デッキで食事をとるカークランド
後ろから抱きつき、上から顔をのぞきこむボヌフォワ
「みーつけた」
びっくりするカークランド
「…ドクター!?」
「ふふふ、びっくりしたか?アーサー」
参ったと眉をしかめて
「まったく…心臓が飛び出るかと思った」
「呼び出しをかけたのに、すぐ来ないからこうなる」
きょとん、とした顔で
「…呼び出し?すまない、何かあったのか」
しょうがないなぁ、という風に笑うボヌフォワ
「ま、いいんだけどな。今回は俺個人の依頼っつうか…お願いゴト?だし」
「ならここで用件を聞こう。俺に何をしてほしい、ドクター」
ちょっといいにくそうにするボヌフォワ
「あー…何してほしい、とか、そういうんじゃなくて…だな」
「?…どういう意味だ?」
「ほら、この前の傷。悪くなってないか経過観察しようと思ってたのに、お前すぐどっか行っちゃうから…」
ふにおちたように目を伏せる
「…経過は良好だ。開く様子もなし、腫れや痛みもない。お前の処置が良かったからだろうな」
「本当か!?良かった…結構深い傷だったからさ、心配してたんだ」
安心した様な笑顔のボヌフォワ
理解できない感情を覚えるカークランド
(…この、男は)
「そうか」
「せっかく戦場に来たのに、怪我の処置が悪くて死にましたーじゃ浮かばれねぇもんなぁ」
きししっと笑うボヌフォワ
「ま、一番は生き残って大切な奴の所へ帰れる事だけどな!」
肩を叩いて去っていくボヌフォワを見送りながらぽそりと呟く
「…どこまで、俺を掻き乱すんだ…」