近世初めあたり 小屋での密会
トントンと戸を叩く音が聞こえる
はっと我にかえる若仏
「いいよ、入って」
少年りすが入ってくる
「…いらっしゃい」
無言で若仏に抱きつく
「会いたかった…」
やっと、という表情の少年りす
若仏が切ない表情で抱き締めかえす
「ねえ、お前まだ俺のこと好きなの」
「……嫌いには、なったかもしんねえ」
「…そう」
「けど、愛してる……」
「!」
「愛してるフランス、愛してる…」
苦しくなるほど、顔を隠すように少年りすを抱き締め、泣く若仏
「お、まえ…馬鹿、だよ…っなんで、そんなっ……おれのこと、好きな、の…」
「お前は…?」
「お前は、俺が好きか…?」
暫しの沈黙ののち、憤慨したような若仏
「…お前がそんなだから、バカみたいに好きになっちゃったんじゃないか…!」
もっと泣く若仏
「今日のお前、すげー泣き虫…自慢の顔が台無しだな」
「誰のせいだよ、ばかっ…!」
「俺のせい、だろ?責任とってやるから泣き止め」
「……ん」
照れる若仏
「かわいい」
若仏にキスする少年りす
鐘が鳴る
「あ……っ」
「またな」
おでこにキスしてその場を去る
たまらずというふうに
「…次、いつ会える!?」
「____」
ぽかんとして、くしゃっと真っ赤になる若仏
「ばか……」
『手紙を書くから待ってろよ、俺のお姫様』