あっという間の放課後。正直、授業なんて『退屈』の文字しか出てこない。
それは勿論、予習復習完璧にしているから。
授業の内容なんて完全に理解している。
……そうしなければ、いけないから。
神楽はさっさと帰宅の準備を整え、俺に告げる。
「紅愛が待ってるから、バイバイ怜夜!」
「おう、またな」
紅愛ってのは神楽の妹。神楽に似て超可愛い。……だが彼奴はシスコンだ。本人に言ったら多分、息の根を止められる。
鞄に教科書だのを詰め、早足に帰宅を試みる……が、教室を出た瞬間に女子達に囲まれた。
「怜夜様!!一緒に帰りませんか!?」
「何言っているの!?怜夜さんと帰るのはこのわたくし、生徒会長の特権ですわ!!」
ついには生徒会長まで出てきてしまった。
顔は普通に綺麗だと思うが……うん、性格が残念過ぎる。
そして、喧嘩が始まる。ギャーギャーと言う女子の声が、廊下に響き渡った。
どうすっかな、と呆れたが、女子達は俺そっちのけ。……今なら多分、逃げられる。
気付かれないようにそっとその場を離れ、全力で早歩きをする。走るのは危ない。
外に出て、“秘密”の図書館に向かう。
薔薇の華、まるで森のような木々を抜けると、アンティーク調の建物が見えてくる。お伽噺に出てくるようなその建物は、今では使われていない学園の旧図書館。ここに人が来ることは全く無いので、バレることは多分無いだろう。
すぐに帰らないのは、女子に囲まれていない俺を発見した女子がまた追ってくるから。前までは頑張って逃げてたけど、正直しんどいし。皆が帰ってから帰るのが一番だろう。
ギィ――と古めかしい音を立て、開く扉。
中はとても広く、高い位置の壁にあるステンドグラスからは、少しだけ夕暮れ色の光が漏れている。
「はぁぁー……」
深い溜息を吐いた。
誰もいないので、ただ静寂に溶けていくだけだった。
それは勿論、予習復習完璧にしているから。
授業の内容なんて完全に理解している。
……そうしなければ、いけないから。
神楽はさっさと帰宅の準備を整え、俺に告げる。
「紅愛が待ってるから、バイバイ怜夜!」
「おう、またな」
紅愛ってのは神楽の妹。神楽に似て超可愛い。……だが彼奴はシスコンだ。本人に言ったら多分、息の根を止められる。
鞄に教科書だのを詰め、早足に帰宅を試みる……が、教室を出た瞬間に女子達に囲まれた。
「怜夜様!!一緒に帰りませんか!?」
「何言っているの!?怜夜さんと帰るのはこのわたくし、生徒会長の特権ですわ!!」
ついには生徒会長まで出てきてしまった。
顔は普通に綺麗だと思うが……うん、性格が残念過ぎる。
そして、喧嘩が始まる。ギャーギャーと言う女子の声が、廊下に響き渡った。
どうすっかな、と呆れたが、女子達は俺そっちのけ。……今なら多分、逃げられる。
気付かれないようにそっとその場を離れ、全力で早歩きをする。走るのは危ない。
外に出て、“秘密”の図書館に向かう。
薔薇の華、まるで森のような木々を抜けると、アンティーク調の建物が見えてくる。お伽噺に出てくるようなその建物は、今では使われていない学園の旧図書館。ここに人が来ることは全く無いので、バレることは多分無いだろう。
すぐに帰らないのは、女子に囲まれていない俺を発見した女子がまた追ってくるから。前までは頑張って逃げてたけど、正直しんどいし。皆が帰ってから帰るのが一番だろう。
ギィ――と古めかしい音を立て、開く扉。
中はとても広く、高い位置の壁にあるステンドグラスからは、少しだけ夕暮れ色の光が漏れている。
「はぁぁー……」
深い溜息を吐いた。
誰もいないので、ただ静寂に溶けていくだけだった。
