「おはようございます、怜夜様。朝食です」

そんなメイドの声で、俺の朝は始まる。

眩しい陽の光が部屋の大きな窓から射し込む。
半開きだった目が完全に開いた。


……こんなことは本来、普通じゃ無い。

メイドが朝起こしてくれるとかありえない。
ここは何処だって聞かれたら、日本。
そもそもメイドって何処から生まれたんだ……?


そんな、どうでも良いことを考えながら、リビングへ続く長い廊下と階段を歩く。

メイドや執事とすれ違う度に、深々とお辞儀をされた。
……いい加減慣れろ、俺。




「……」

カチャカチャと、食器の音しか聞こえない。
広すぎる空間、無駄にデカいテーブル、飾られている花やロウソク。


全てが無駄だ。
俺1人と、佇んでいるだけのメイド。

それしかこの空間にはいないのに、無駄と思われる広さの家具達。


"静寂と孤独"

なんて言葉が見合うよな、これ。
中二病染みたことを言うつもりは無いけど、
一番見合う言葉を選んだまで。
俺は悪くありませーん。



ああ、いい加減


反吐が出るほど退屈で

普通じゃ無い生活をどうにかしてくれ。