「緋ー萌ちゃん。帰ろ？」



いつものように波留人が教室に迎えに来た。


「いぃなぁ～緋萌は。いつも王子様の送り迎え付きで」




ミカに冷やかされても波留人は正直に嬉しそうな顔をする。


…私も本当は結構嬉しい。



「王子様？波留が？全然違うから」



なのに…


素直じゃない。


心にもない言葉ばかり口から出てくる。



「波留。今日は二人三脚の練習する約束になってるから先帰って」


待っててなんて言えないもん…。



「安達くんと二人で！？」



波留人がちょっと嫌な顔をした。



「二人三脚だもん。一人じゃ出来ないよ」



もしかして、波留人。安達くんのこと嫌い…とか？



「…………俺も行く！」



明らかに不機嫌になった波留人が私の手を引いて教室を出る。



「波留？本当にいぃよ？波留は二人三脚出ないんだし」



安達くんのこと嫌いなら余計に一緒にはさせられないょ～！



「いいのっ！！」



ビクンとした…


波留人がこんなに大きな声を出したこと聞いたことない―