一人残された私。

まぁ、元から1人だったけども。

彼が去った後に、セットしていた携帯のタイマーが鳴った。

15分だけの出来事。

それからどうやって帰ったのかうろ覚えで、
今は自分の部屋にいる。

(あ、勉強しなきゃ)

机に向かって数学のノートを出す。

筆記用具も出して準備万端。

だけど、私の頭だけは準備間に合わず。

ただひたすら、ボーっ。

お母さん『麻衣子ー。晩御飯できたわよー。』

いつものように階段下からお母さんの呼びかけ。

はっ!!

またそこでタイムスリップからの帰還。

何も手をつけていない勉強道具を片付けて、
リビングへ向かう。

今日の晩ご飯は、サラダ、味噌汁、ほうれん草のおひたしに、キス天。

キス天。

キス、天。

キス・・・キスゥ!!!?

手に持ったお箸に力が入らず、思わず箸を落としてしまう。

お母さん『麻衣子!?どうしたの?』

びっくりしているお父さん、お母さん。

お父さん、お母さん。

私、初めての体験、しました。

知らない男の子、と。

麻衣子『あの、お父さん、お母さん。キ、キキ、キス(小声)て、どんな感じだった・・・?』

また、顔に熱がこもってくる。