「教頭先生、

私どうしたら良いのか…

坂田君は勉強の出来る子ですが、

協調性が無いと言いますかいつも一人なんです!

このままでは将来が心配で…

確かに勉強は出来た方が良いと思いますが、

私はそれだけではダメだと思うんです。

もうあの子の担任でいる自信をなくしそうで…」

武田が最後に発した言葉を耳にした小松崎は、

この時心の中で呟いた。


『武田先生はまだ教師としての自分に自信が持てない様だ…

だからこそあえて試練を与える意味で彼女に担任をして貰ったんだが、

やはり彼女には荷が重すぎたかな?』

この時小松崎は、

ここで挫けさせてはなるまいと、

武田に対し発破を掛ける。


「担任がそんな事でどうする、

しっかりしなさい!

担任は君なんだ、

それなのに自信を無くすだなんて…

坂田君の事については私や他の先生方も精一杯サポートする、

だから今後二度とそんな言葉を口にするな!」

「申し訳ありません、

つい弱気になってしまって…」

「まぁ良い、

これまでの担任も解決出来なかったんだ、

教師になって間もない若い君が自信を無くすのも無理も無いだろう…

だが本当にどうしたものかな?

彼の場合勉強さえ出来れば他の事はどうでも良いと言う考えがあるらしく、

以前先生方と話し合った時は、

特にいじめ等は無い様だし暫く様子を見ようという事になっていたんだが、

何か考えた方が良さそうだな…」

そうは言ったものの、

二人とも考え込んでしまい、

結局具体的な対策案が出る事は無かった。