翌朝六時三十分にセットした目覚まし時計が鳴り、
眠たい目を擦りながら起きると、
顔を洗い食卓に向かう。
食卓へとたどり着いた武彦は、
おとなしげな声で両親に挨拶をする。
「おはようございます…」
向かいの席では父親が新聞を読んでおり、
キッチンでは母親が朝食を作り終え、
席に着こうとしていた。
「武彦ちゃんおはよう…」
美智代が挨拶をして席に座る。
その間も父武雄は黙って新聞を見たまま。
「いただきます!」
美智代と武彦は静かな声で言うと朝食を食べ、
それとほぼ同時に、
武雄も無言のまま食事を口にする。
これが坂田家の朝の日常である。



