「お前最近いつも休んでないか?
成績も落ちてるみたいだし…
前はいつもトップだったじゃないか、
ライバルは一人でも減ってくれた方が有り難いけどね」
拓也が話しかけるが、
武彦はまだ誰かわからずにいる。
ただ話の内容から、
同じ塾の生徒であることはわかっていた。
「何か悩み事でもあるのか?」
拓也の問い掛けに初めて武彦が口を開く、
小さな声で「別に…」と一言だけ。
拓也はその一言を聞くと更に話しかける。
「俺さぁ…
てっきりお前は勉強が好きで自分から進んで塾通いしてるとばかり思っていたけど、
そうじゃなかったのか?
俺もお前位頭が良かったらってずっと思ってたんだぜ!
それなのに最近は塾にも来ないし…
今じゃ成績だって俺よりもずっと下じゃないか!
お前みたいな奴でも勉強が嫌になる様な事あったんだな…
俺もさぁ、親が勉強しろってうるさくって、
特におふくろ、
何かにつけて勉強しろとかもっと成績あげろとか、
もう嫌になっちゃうよ」
武彦が全然話に乗ってこない為、
拓也は話題を変えてみる事にした。
「なぁゲーセン行った事あるか?」
この問い掛けに武彦は、
当初無言のまま何も答えずににいた。



