それでも武彦は希望する中学校へとどうにか合格を果たす事が出来た。
そこは大学までエスカレーター式で進学出来る有名私立校の中等部であったが、
それでも学年ごとの成績争いからは逃れることは出来ず、
ここで成績が悪ければ高等部への進学が望めないため、
今から憂鬱な気分に晒されていた。
そして卒業式を終えると、
翌日から塾通いを再開する武彦であったが、
この頃には既に塾に行く気など失せていた。
「武彦!塾はどうしたの、
早く行きなさい!」
「もう嫌だよ…
何時まで行かなきゃならないの」
「何言ってるの!
彼方の将来の為でしょ!」
「分かったよ、
めんどくさいなぁ…」
小声で呟く武彦だが、
この頃の彼は自ら進んで塾に行くと言うよりも、
母親に行かされているという様なそんな心理状態になっていた。



