この頃の武彦は、

何故勉強しなければならないのか、

何の為に勉強するのか、

母親や学校の教師達は良い学校に行く為と行っているが、

一生懸命勉強して良い中学校に入学できても、

その先には良い高校に入る為の勉強が待っており、

良い高校に入った後は良い大学、

良い大学に入れば次には良い会社に入れるよう努力する。

更に良い会社に入社できても少しでも上へ出世出来るよう努力する日々が待っており、

一体何時になればこの呪縛から逃れる事が出来るのか、

その事ばかり考える様になっていた。
 

事実武彦の生活は受験の為の知識だけを詰め込む毎日であり、

生活する上での知識や知恵、

世間一般の常識や礼儀などは知らない子に育ってしまっていた。