シグナル


武彦は保健室登校を続けていくうちに、

『何故僕がこんな所に追いやられなくてはいけないんだ!』

そんな疎外感に駆られる思いで頭が一杯になってしまい、

更には美智代に勉強を褒めて貰えなくなったこともあり、

ついには勉強への意欲までもが薄れてしまった。


しかし母親の期待には応えたい、

いつしか彼の中で美智代の期待がプレッシャーとなり、

やがてそれがストレスへと変化していく。


更にこの頃になると塾もさぼりがちになり、

たとえ塾に行っても勉強に身が入らなくなってしまう。


次第には常にトップだった塾での成績が、

二位三位と徐々に落ちてしまっていた。


「こんな事もあるわ、

次頑張りなさい」

始めのうちは、

美智代もそう言って励ましてくれたが、

九位十位という成績にまで落ちてしまうとこの頃には、

「あなたはもっと出来る子なのに、

どうしてこんな点しかとれないの、

もっと頑張らなければ駄目じゃない!」

こんな風に美智代から叱られる事が多くなっていた。


しかし美智代に叱られる事により萎縮してしまった武彦は、

更に成績を落としていく。