シグナル


「申し訳ありません…

治療の一環になればと思い、

彼にも見て貰ったのですが、

薬が効きすぎたようです!」

一言謝罪する小嶺。


その頃退廷させられた武彦は、

事実を受け入れたくない余り、

法廷の外でひたすら自らに言い聞かせていた。


『人殺しなんかやってない!

何かの間違いだろ?

どうして僕が人を殺さなくてはいけないんだ!

そんな理由どこにも無いじゃないか…』

このように事実から逃れようとしていた武彦であったが、

彼が人を殺してしまったと言う事実からは、

逃れられることは無かった。


その後も審判は続けられ、

武彦の処分は、

児童自立支援施設への送致となった。