シグナル


そこへ小嶺が補足説明を行う。


「ご覧の様に彼、

坂田武彦君は、

日頃から母親により勉強を強いられていたようです!」

だがこの言葉に判事が反論する。


「そんな事位どこの家庭でも一緒じゃないですか?」

「そうですね、

最近では学歴重視の家庭が多く、

中学校受験や小学校受験、

更には幼稚園のお受験まで、

過熱の一途をたどっています、

それが彼の母親は、

異常な程の熱心さだった様です、

それにより彼も勉強の良く出来る子に育った様ですが、

母親は彼がどんなにテスト等で良い点を取っても、

褒める事はしなかった様なのです!

それでも彼は、

母親の期待に応えたいと言う思いがあったのでしょう…

必死に勉強に取り組んでいた様です、

ですが次第にそれがプレッシャーとなり、

彼に重くのし掛かったと考えられます…

その後徐々に成績は落ち、

母親に叱られる事が多くなってしまった、

そしていつしかゲームにのめり込むようになってしまうのです、

それにより彼は、

次第に学校も休みがちになり、

部屋にこもりゲームばかりをする様になっていきました、

それによって通常考えにくいのですが、

どんどんゲームの世界にのめり込んでしまった彼は、

仮想と現実の区別がつかなくなってしまった様に思えます、

もちろん私自身、

ゲームを否定する訳ではありません…

むしろ少し位やったほうがコントローラーを操作する事で指先を動かし、

場面展開等を考え、

先をよむ事で頭の回転を良くする事にもつながると思っています、

ですがそれまでゲームなどした事がなく、

勉強しかやってこなかった彼にとっては、

結果的に裏目に出たのだと思います!」

その時驚きの表情を浮かべて聞き入っていた判事が、

驚愕の思いを抱きつつ尋ねる。