「では性格はどの様な子でしたか?」
「とてもおとなしく、
自分の意見もはっきり言えない様な、
もの静かな子でした!」
「そうですか…
ではクラスメイトとはどうでしたか?
たとえば友人関係とか…」
「あの子は勉強は出来ましたが、
友人関係を作るのはとても下手でした、
下手と言うよりも、
どう声を掛けたら良いのか分らないと言う方が正しいかもしれません!
そんな武彦君に対して、
他のクラスメイト達は彼を煙たがってしまい、
誰一人話し掛けようとしませんでした!」
「彼は学校では一人ぼっちだったと言う事ですか?」
「はい…そういう事になりますね!」
「その様な状態は何時まで続いたんですか?
やはり卒業するまで続いたんでしょうか」
「それが…六年生に進級すると、
その状況はもっとひどくなっていきました。
私はあの子の担任を外れてしまったので、
自分のクラスだけで精一杯で、
心配する事しか出来ませんでしたが、
あの子は更にクラスメイトと馴染めなくなってしまい、
学校に来る事を拒否してしまいました。
そして当時六年生の担任であった岡嶋先生と、
教頭である小松崎先生が、
頻繁にあの子の家を訪ねて説得していました。
そして保健室登校という形で、
少しずつ学校に来る様になりました。
その為あの子の勉強は教頭先生が見ていましたが、
実際に教える事はほとんど無く、
傍らで見ているだけだった様です!」
一通りの説明を終えた武田は小嶺に対し、
武彦を助けてくれるよう頭を下げる。
「私はずっとあの子の事を気にかけていました。
まさかこんな結果になるなんて…
お願いします、
どうかあの子の事を助けてあげてください」
「私に出来ることは限られています。
ですがその中で全力を尽くします!
今日はお忙しい中本当にありがとうございました!」
この時武彦は、
自分のしてしまった事に対して、
罪の意識にさいなまれ、
自らを責め立て心を痛めていた。



