シグナル


その後は武彦本人の生い立ちなどの質問を行い、

その後筆記による心理テストを行った。


このペーパテストを行っている中で、

武彦は以前の感覚を徐々に思い出し、

次第に意識が仮想空間から現実世界へと引き戻されていく。


だがそれも断片的なものであり、

仮想空間の意識の中に、

僅かに現実世界の意識が混ざり合っている程度であった。


「おじさんここ何処なの?

僕どうしてここにいるの?」

「きみ…憶えてないの?」

驚きを見せた小嶺であったが、

武彦が何故ここにいるかは敢えて言わなかった。


その後脳波の検査等も行われたが、

その間も意識は現実世界へと少しずつ引き戻されていき、

ついには自分がこの世界で何をしてしまったのか知ることになる。