シグナル


「すみません、分からないんです、

私は元々子供が嫌いでした、

ですが美智代のお腹に新しい命が宿ったと知った時、

あまりにも美智代が喜ぶもので、

美智代が喜ぶのも当然でしょうがね、

美智代でなくても、

女性なら当然でしょう。

私はそんな美智代に産むなと言えませんでした。

その時思ったんです…

幾ら子供が嫌いだとはいえ、

自分の子供となると話は別じゃないかって…

でも違いました。

確かにあの子がまだ小さい頃は、

可愛かったですし愛情もありました。

だからといって、

今愛情が無いと言う訳ではありませんが…

ただ大きくなるにつれ、

あの子にどう接したら良いのか分からなくなってしまって…

その為にあの子と接することを避けてしまっていました、

その方が楽ですから…」

「要するに彼方は逃げたんですね?

彼方は武彦君とコミュニケーションをとることから逃げたんですよ!」

声を荒げながらの小嶺の言葉であった。


「そうですね、

あの子がこうなってしまった責任の一端は、

私にもあるんですよね…

でも今頃気付いても遅いですよね!」

そう言うとうなだれる武雄。


「今日はこの辺にしておきましょう、

これ以上やっても無駄のようだ…」

「お力になれず申し訳ありません!」

武雄が謝罪するが、

この調査により、

小嶺には重要なことが分かってきた。


「いいえそうでもありませんよ、

結構いろいろな事が分かりました!」