シグナル


「いいえ、主人は予備校の講師をしている為、

夏休みも夏期講習等で都合がつきません、

そもそも受験合格の為に、

勉強以外に何がありますか?」

「ではご主人は、

子育てに対しては協力的でしたか?」

「いいえ…主人は仕事が忙しいと言い、

あの子の事は全て私に任せきりでした」

「そうですか…

両親揃って子育てに参加する事って、

結構大事なんですけどね…

もしかしたらその辺のところも、

今回の事件の原因の一つかも知れないですね」

「そうでしょうか…

あの子の事は普通に教育したつもりですし、

子育てだって間違ってなかったと思いますけど…」

「普通って何ですか?

子育てに普通も何も無いと思いますけど!

マニュアル通りに行かないのが子育てではないですか?」

今日は終わりにしようと考えた小嶺は、

その事を美智代に伝える。

「今日の処はこの辺にしておきましょう…」