このルイス中将は、
兵士としてはとても優秀なのだが、
戦略家としては、
他の指揮官よりもはるかに劣っていた。
にもかかわらず、
自己主張が強すぎる上に、
自らの出世の事ばかり考えており、
部下の意見に対して、
自らの考えを変えることが何よりも嫌いであった。
しかし出世する為には、
結果を出さなければならず、
それには戦果を挙げる事が一番だと考えていた。
それ故多少のリスクもいとわない指揮官になってしまった。
対してトーマス准将は、
とてつもなく慎重派の人間であり、
事あるごとに二人の意見は対立していた。
その為にトーマスは、
この上官の下ではもう戦えないとさえ思い始めていた。
しかしルイスの決定が覆る事は無く、
武彦のいる村へと向かい、
軍を進めてしまった。
この時既に日付が替わろうとしており、
夜明け前に、
どうしても敵軍の基地へと辿り着けなければならなかったルイス中将は、
急ぎつつも星や月の動きを確認しながら、
慎重に軍を進めていく。
ところが案の定ルイスの読みは甘く、
徐々に進路がずれてしまい、
当初予定していたコースから、
少しずつ外れてしまっていた。



