「はい、どなたですか!」
「こんにちは、
武彦君の担任をしています岡嶋と言います」
無言のまま玄関まで来ると、
不機嫌な顔をしながらドアを開ける美智代。
「何しに来たんですか!」
「武彦君がずっと学校を休んでいるもので、
来るよう説得に伺いました」
「武彦は今勉強中です!」
「少し話をするだけです、
会わせてもらえませんか?」
「お断りします、
それにあたしが学校に行かなくても良いと言ったんです!
だからもうお帰りください」
「何故です!
どうしてですか?お母さん」
「分かりませんか!
武彦から聞いたんですよ、
あなた方が武彦に勉強をさせないから、
私が行かなくても良いと言ったんじゃないですか」
「待ってくださいお母さん、
私達は坂田君に、
勉強をするななんて事は言っていません!
ただ授業中は、
みんなと同じ勉強をする様に言っているだけです」
「それが勉強をするなと言っている事ではないんですか、
とにかくお帰りください!」
そう言うと、
そのまま勢いよくドアを閉めてしまった。
一人取り残されてしまった岡嶋は、
仕方なくこの日は返ることにした。



