「ユーリ・ブラント。
彼は一体何者なのか…
我が校の中で、EF適性値が群を抜いて高い生徒だが、如何せん素性が知れぬ者だ…」


数人の教官達がユーリ・ブラントのデータを見ながら話し合う。


「先生方、この子の素性は私が保障致しますよ」


数人の教官達が群がる机から離れた場所で壁に寄り掛かっていた一人の男がそう発言した。


「ルードヴィッヒ様とこの生徒はお知り合いで?」


一人の教官がルードヴィッヒと呼んだ男に問う。
この問い掛けにルードヴィッヒは笑みを浮かべ、答える。


「知っているよ。
その答えはこの子の前でしてあげよう」


コンコン──


ルードヴィッヒが答えると、扉からノックする音が聞こえてきた。


「どうやら、来たみたいだね。
さて、私はしばらく隣の部屋から様子を見ているとしよう。
あの子を驚かしたいからね」


そう言ったルードヴィッヒは、この部屋に隣接する応接室へと身を隠した。