ベルガー軍曹に案内された先は、オーディンのブリッジだった。
ブリッジには数人の軍人が、各々の席に座り、作業を行っていた。


「艦長、少尉達を連れて来ましたよ!」


ベルガー軍曹はブリッジ中央に位置する艦長席に座った人物へと声を掛けた。


「来たか」


成人男性特有の低い声を響かせ、艦長と呼ばれた男は席を立ち、此方へと視線を向ける。


「あっ!」


視線を向けた男の顔を見るや否や、アディは驚きの声を上げた。


「バ、バイパー教官──」


そう、艦長と呼ばれた男は私達もよく知る人物だったのだ。


「確かに教官だったが、予てよりユーゲントに、と殿下直々にご要望があられてな。
だから今は艦長若しくは中佐と呼ぶように」


「はい」


軽く注意を受けたが、私達が了解するとバイパー艦長は改めて挨拶を交わす。


「改めて、ユーゲント所属艦オーディン艦長、エアハルト・バイパー中佐だ。
EFパイロットであるお前達に人手不足とはいえ、ブリッジ要員となってもらう事になったが、これも国家存亡の危機にある今、致し方ない事だ。
だが、この経験は何れ役に立つ事もあるだろう。
しっかり務めてもらいたい」


「了解しました!」
「了解ですわ」


私とアディはしっかりと頷き、返事を返した。