「総司令」


ルードヴィッヒが声を掛けた先にいたのは、会議室の最前列に座る一人の初老の男性だった。


「何ですかな、殿下?」


「ユーゲントを率いて、戦地に向かう事の許可を願います」


ルードヴィッヒの言葉に反応したのは、総司令と呼ばれた人物でなく、先程の男だった。


「で、殿下!
しかし、まだユーゲントのパイロット達は今日訓練を開始したばかりだと…」


「副司令、もちろん彼等に戦闘はさせません。
今回はEF戦闘ではなく、ユーゲントの母艦をいずれかの艦隊に組み込んで戦闘を行いたいという事です。
まだ、進水式も済ませてないですが、アレの建造は終わってますから、役には立つと思いますよ。
一応、パイロット達も連れていきますがね…」


総司令と呼ばれた人物は、ルードヴィッヒを見るとため息をつき、頷いた。


「良いでしょう。
負けてしまっては意味が無くなってしまいますからね…」


「感謝します、総司令。
では、準備がありますので失礼」


ルードヴィッヒは敬礼を交わすと会議室を出ていっていった。