「なにッ!?
今、何て言ったのだ!?」


この人物の声は、広い会議室に響き渡った。


「フュルステンベルグに駐留していた帝国軍艦隊の二つがこのレストアに向け、発ったと…」


静かだった会議室は、そこに居合わせた軍人達の動揺により、騒がしくなった。


「えぇいッ!
今少し時間があれば!
どこの艦隊だ!?」


尋ねられた士官は気落ちしたように上官に答えた。


「それが…第3艦隊と第5艦隊です。
フュルステンベルグに残ったのが第6艦隊ですから、まず間違いないかと…」


この答えを聞いた者達の動揺はさらに酷くなり、士官に尋ねた人物も目を見開いた。


「よりにもよってあの第3艦隊とはな…」


「何を気落ちする事があるんです?
帝国軍がレストアに攻め込んでくる事は解っていた事です。
ただ、我々が思っていた時期より早かっただけの話です」


会議室に現れ、集まっていた者達に向け言い放ったのは、ルードヴィッヒだった。


「殿下!
しかし、相手は第3艦隊と…」


「それがどうしたんです?
帝国を相手にするという事は、遅かれ早かれ第3艦隊とも戦う事になるんですから。
それも含め、時期が早まっただけです」


「まぁ…そうですが…」


「それより、こちらもなるべく速く迎撃体勢を調えなければ。
帝国軍が皇都に入ってしまえば、民が傷つく。
そうなる前に私達も急ぎ、編成を調え、皇都を発ちます。
国境守備軍には連絡は?」


先程、報告を挙げた士官に確認をとる。


「はっ!
国境守備軍には既に連絡は入れてあります」


これを聞いたルードヴィッヒは頷いた。