「それでは本日の訓練は終了とする。
各自、宿舎へと戻り明日の訓練に備え、休養するように」


ルイはそう告げた後、一瞬私を見た後、シミュレータールームから出ていった。
残されたユーゲントの者も宿舎に移動するため、消耗しきった重い体を引きずるように部屋を出ていく。

私は、宿舎の場所を知らなかったが馴染みの人もいない為、聞くことを躊躇い、どうしようかと思案していると、後ろより声を掛けられた。


「ねぇ、そこの貴女」


声を掛けられ、後ろを振り向くと先程、訓練の時に一緒になったアディ・シュタインだった


「私ですか?」


「えぇ、貴女よ。
貴女…ユーリさんと言ったかしら?」


「えぇ、そうですが…」


「わたくし、アディ・シュタインと申しますの。
アディと呼んで下さって構いませんわ」


いきなりそんな感じで自己紹介が始まり、呆気にとられたが、こちらも一応受け答えた。


「はぁ…
あ、私もユーリと呼んで下さい」


「解りましたわ。
ユーリ、わたくしに改まった話し方はして頂かなくても結構ですわ。わたくし達は同じ仲間なのですから」


「えぇ、解ったわ。
アディでいいのね?」


綺麗な顔とお嬢様言葉の彼女は、とても気さくな性格をしているらしく、すぐに馴染む事ができた。


「それでなんですけども、ユーリは宿舎の場所をご存知ではないと思い、ご一緒にどうかと声を掛けたのですが…」


アディは私がどうしようかと思案していた事を見抜いたのか、話しかけてくれたようだ。


「ありがとうアディ。
どうしようかと思っていた所だったの」


「お礼される事でもありませんわ!
さ、参りましょう」


アディはそう言うと私の手を取り、宿舎に向かう道を歩き出した。











アディに伴われ施設内をしばらく歩くと、軍の宿舎へとたどり着いた。


「ここが、軍の宿舎ですわ。
管理官がいますから、その方に尋ねればお部屋を教えてくださりますわ。
宿舎ですからどなたかと相部屋になると思うのですが…
どうせなら、わたくし貴女と同じ部屋が良いですわ。
わたくし達は同期生ですし。
……まぁ、そんな事を言っていても仕方ありませんわね」


そうぼやくと、アディは管理官のいるもとへ部屋を聞きに行ってしまった。


私もアディの後を追い、管理官の元へと足を運んだ…