『今から訓練を行う』


ルイのこの言葉に皆の表情が変わった。
既に軍務に就いている者は真剣な表情に、そして候補生だった私達の表情は何処か緊張した様なものだった。
皆の様子を見ていたルイは、一つ頷くと品の良い笑みを浮かべた。


「訓練とはいえ、いきなり実機を使った訓練ではない。
まだ君達にはＥＦがどんなものなのかも解らない筈だ。
先ず、君達はエインフェルトと同じシステムのシミュレーターでシステムに慣れてもらう。
さ、シミュレータールームに案内するから着いてきてくれ」


話終えたルイは、シミュレータールームへと足を進め、それに私達も続いた。


















シミュレータールームへたどり着き、中へ入るとそこには、大きな箱のような物が四基並んでいた。


「今から三人ずつ順番にシミュレーターを使って訓練に入る。
名を呼ばれた者からシミュレーターに入って私の指示に従ってもらう」


ルイはそう言うと、一番端にあったシミュレーターに入り込んだ。
それから、何人かが順番にシミュレーターに入り、訓練が開始された。
しばらく経ち、訓練を終えた者達がシミュレーターから出てきた。
出てきた者達は誰しも顔の色が悪く、フラフラと覚束ない足取りだった。

そして、いよいよ私達候補生の名が呼ばれるのだった。


「エルンスト・クリューガー、ユーリ・ブラント、アディ・シュタイン中へ入れ」


私と先程少し話したエルンスト・クリューガーにエリートクラスのアディ・シュタインが呼ばれた。
私達三人は、それぞれシミュレーターの中へと入り込む。


シミュレーターの中は、戦闘機のコックピットに比べ、広く作られていた。
私はコックピットに座り込み、中をキョロキョロと見回していると、正面のモニターが開かれ、そこにはルイの姿が映っていた。