俯いてしまった私を見てか、ルイは私の頭を撫でると理事長へと強い眼差しを向けた。


「理事長、彼女が今までこの士官学校で無駄に時間を過ごしてないのはお解りの筈…
彼女のEF適性値は群を抜いて高い、と先程までご自分で言っていたじゃないですか」


ルイの言葉に理事長は、机の上で手を組み瞳を閉じた。
そして、ため息を吐くと、閉じていた瞳を開き、私達に視線を向ける。


「殿下、姫、兵の補充は利きますが貴方達、御身の替えはいない事をご理解しているのですか?」


兵士は補充はできるけど、補充できたとて、その散っていった兵達の命までは戻らない…
私達王族も兵士達も、その命の替わりなんて──ない。


そんな事を考えていれば、私の隣から反論するルイの声が聞こえてきた。


「理事長、私達は死にに行く訳じゃない。
私達は明日の未来の為に軍へと入ったんだ」


これを聞いた理事長は二度目のため息を吐き、困ったような表情を浮かべた。


「解りました。
貴方達にもう何を言っても無駄でしょうな…
ですが何卒、ご自愛くださりますよう…」


「あ、ありがとうございます!」


私は理事長に頭を下げて感謝の気持ちを伝えた。


「ユライア様!頭を上げてください…
貴女が私に頭を下げるなど──」


理事長が慌てる様子が解ったが、理事長の言葉を遮って私は話始めた。