……それから十数分後、二人して屋上に来ていた。


春の夜は、まだちょっと肌寒い。


晩酌かわりに持参したのは、レンジでチンした牛乳、つまみは小魚とアーモンド。


いや一応、まだ未成年だから。


二人して乾杯する。


自分はぬるくなるのが嫌だから即飲んでしまうけど、ケイゾウは猫舌だ。


熱々ではないのにしつこいくらいにフーフーしている様は、ちょっとおかしかった。


「……調べてくれて、ありがとな」


「調べたのはウッキーだけどな」


「へっ……言ってくれたのはお前なんだろ?」


「……まぁな。

気になったから」


ケイゾウはウーさんに言って、父さんが死んだ土砂災害について調べてくれた。


「補修工事の指揮監督ってな状況で自殺……ってなら。

普通、見張り台から落下、とかだろ。

親父さん、土砂崩れに巻き込まれて死んだってのに『自殺』だなんてよ。

そしたら、シンラの親父さん……とんでもねえことになっちまうだろ。

そこんとこが気になってさ」


たしかに。


もしも父さんの死が本当に『自殺』なら……土砂災害そのものを引き起こしたのは父さんだ、ということになってしまう。


あの土砂崩れで事故ったのは父さんだけじゃない(死亡は父さんだけだったけど)。


……人様まで巻き込んで故意に落石まで起こしていたなら、それはそれで大問題だ。


母さんが、危惧していたのもその点だろう。


だからこそ母さんは、お金だけもらって即村を離れたんだと思う。