「あはは」
私が隣を通り過ぎると、複数人の男の下卑た笑い声が耳に入ってきて、そっちを向くとまるで私を嘲笑うかのような顔をしていた。
他の女の子達からも、遠慮なくクスクスと人を見下すように笑っている。
「何このデブ、お笑い要員?」
私の存在が面白かったのか、お立ち台に上るよう私の体を見知らぬ男の子が押し上げた。それに同調するように、一緒に来ていた女の子達に手を引かれお立ち台へ上がる。
この際、お笑い要員でもなんでもいい、のこのこ惨めにこの場から逃げるのだけは嫌だ。
「おぉーっ」
このフロアで私が一番注目を集めていた。内心ビクビクで今すぐにでも逃げ隠れたいのを押し隠して、他の女の子達の振りを見よう見まねで真似る。全然知らない洋楽の、どんちゃかどんちゃかうるさいだけのクラブミュージックを、あたかも、私毎日この曲聞いてます、とでも言うように澄ました顔をして。
細いからって何だ、可愛いからってなんだ、オシャレだからってなんだ。
デブの私だってこんなに注目集められるんだって。
だから、バカにするなって言いたかっただけだったのに。
予想外にフロアは盛り上がった。
だけどそれも長くは続かなくて私の大きな尻が隣の子に当たって、きゃっ、と大げさによろめいた途端、空気はガラっと変わった。
「おい、デブ、そろそろ自重しろよー」
「あはは、確かに。外に入場制限かかって入れない子もいるんだから、スペースもったいないわ」
「こいつ1人で、2~3人位幅あるもんなー」
「デブが踊ってんの最初は面白かったけど、見苦しいっての。もう飽きたからさっさと帰んな」
「最終的にここにお前の需要ないから。あ、ごめん、もしかして誰かデブ専いたー?」
……男の子はいつだって、可愛い女の子の味方。
それまでの短い人生の中で思い知らされてきた事実、だけど、それをここまで痛烈に突き付けられたのは始めただった。
そこで容赦ない言葉を浴びさせられたが、誰も私を助けてくれる人はいなかった。
一緒に来た女の子達もクスクスと笑っていた。
そんな中、手を差し伸べてくれたのが憧れの君ことバーテンさんだったのだ。
薄暗い中で、ゆるくパーマがかった髪型をしていて、更に前髪が少し目にかかっていてよく表情を伺えない中、目だけはまっすぐ私を罵倒した男達を捕らえていた。


