指を銜えさせられながら、もう片方の手が背中に回って私の服の中へ入ってくる。
そしてブラジャーのホックを簡単に外されてしまうと、これ以上はダメだと榊原さんの体をぐいっと押して抵抗した。
「ひゃ……っ、め!」
「指ちゃんとくわえてて」
「んー……っ」
大きな手が私の慎ましいサイズの胸をすっぽり覆う。その掌に触れる先っぽに全神経が集中して、もう指を舐める余裕なんてない。
「舌休んでる」
「ひゃっ、へ」
「ちゃんと舐めてないと、このまま最後までするよ」
スカートのジップを下ろされながらそう脅かされて、羞恥心など捨てて懸命に言われた通り榊原さんの指を舐めた。なのに、その間にも私の太ももの内側を片手で撫でてきて、体が勝手にビクつく。
まだ?というように、彼の目を見上げると、またあの目。ゾクっと体があの時の熱を思い出す。
次の瞬間、ずるっと指が口の中から出て行って、これで終わったかとほっとしたのもつかの間、今度は奪われるようにキスをされた。
不意に唇が離れると、一気に酸素を取り込んで息を整える。
「……大丈夫、絢奈は可愛いよ。もう少し太ったらもっと可愛くなる」
そんな中、私の頭の中へ直接語りかけてくるような呪文が聞こえてきた。
……本当最悪、この人はそうまでして私を太らせたいのか。
「タルトは?」
私は太りたくないのに、このまま、ほだされるままに二個目のケーキまで食べてしまいそう。
にやっと笑う彼のその手には真っ赤な苺のタルトが。ダメだって思うのに、頭がふやかされて欲望のままそのタルトを口に入れる。
「おいしいか?」
その問いに素直に頷く。更に一口、口をつけようと首を伸ばすと、無情にもそのタルトは離れていってしまった。
どうして?と尋ねるように彼の顔を見上げると、またもや唇を塞がれる。
「ん……っ」
あー……、またこうやって思考能力が奪われていく。
本当このままこの人のペースに乗せられたら、最終的には私の全部をこの人に捧げてしまいそうだ。
色々な感情がせめぎ合って涙がこぼれた。
「……なんで、そんなに甘やかすの?」
「いや?」
「私のことどうしたいの?自分に惚れさせたいの?私のことなんて好きな訳じゃないのに、なんでこんなに干渉してくるの?」
「……」
「こうやって甘やかすから、……たまに勘違いしそうになる。自分の都合良く考えたくなる。違うんでしょ?何が魂胆なの?」
「……こんな時黙るなんて、本当ずるい。それともまたキスで誤魔化す?」


